西光寺のお坊さんがお寺にやってくる人たちの素朴なギモンに答えていきます。お坊さんに何でも聞いてみよう!
今回の相談者:まこちゃん
近所に住む坊守のママ友。仕事と家事に奮闘する二女の母。お寺でコーヒーを飲みながら、坊守とおしゃべりするのがリフレッシュタイム。
浄土真宗のお盆ってちょっと違う?
ねえねえ、絵美ちゃん。そもそもお盆ってさー、いつからいつまでなの?
8月13日がお盆の入りで、16日が盆明けって言われてるよねー。
関東の方では7月13日~16日だったりするけど。
じゃあ、こっちの方では8月13日にご先祖の魂が家に帰ってくるんだ。
あー、でも浄土真宗ではそういう風に言わないからねー。
えー?なんで?
浄土真宗では、ご先祖は仏さまとなっていつでも一緒にいてくださるから「お盆の時に帰ってくる」なんてことは言わないんだよ。
へえ、なるほどー。いつも一緒なんだから、わざわざお盆の時にお迎えする必要はないってことかー。じゃあ、浄土真宗ではお盆って関係ないの?
関係ないってワケじゃないけど、他の宗派みたいにお盆だからといって特別に何かしたりすることはないよ。
でもお盆になったら浄土真宗のお坊さんも「お盆参り」したりするじゃん?あれはどういうこと?
浄土真宗のお盆参りの意味は、わかりやすく言うと「せっかくお盆なんだから、みんなで一緒にお経にあいましょう」ってトコかな?
んー、何だそりゃ?
「せっかくお盆なんだから」って、どういうことよ?
あー、そっか。
この話をするには、浄土真宗はそもそも何のためにお経をあげるのかを説明しないとね。
うん、教えて教えて!
浄土真宗での「読経」の意味
そもそも浄土真宗のお経って、亡くなった方に向けてあげるんじゃなくて、仏さま(阿弥陀如来さま)のお徳をほめたたえるためにおつとめするんだよ。
え?亡くなった方にじゃなくて、仏さまをホメタタエル?
う~ん、ますますワカラン…(汗)
大体、お坊さんにお経をあげてもらうのは、亡くなった方のためにあげてもらうもんだって思ってるよね?
うんうん、普通はそうなんじゃないの?
浄土真宗はちょっと違うんだよね。仏さまはいつも私たちを導いてくださって、色んなご縁を与えながら私たちを育ててくれてるの。そういう「仏さまのおみちびきをよろこばせていただく」のが、浄土真宗でいう「お経にあう」って意味なのね。
へー、「よろこび」かあ。
うん。お葬式でも、ご法事でも、お墓の前でも、どんな場面でもね。
え?ちょっと待って!
お葬式のお経も「よろこび」ってどういうことよ?
もちろんお別れっていうのは悲しみのご縁だけど、でもそんなご縁を通して私たちに大切なことを教えてくださろうとしている、そういう仏さまのおみちびきに向かっておつとめするの。
はあ、なるほどねー。
じゃあ、お盆にあげるお経っていうのは?
日ごろずっと私たちのそばで導いてくださっている、そんな仏さまに感謝させていただくおつとめだよね。
ふーん、感謝のきもちであげるお経なんだねー。
浄土真宗のお盆は「おかげ」をよろこばせていただくご縁
「お盆になったらご先祖が帰ってくるから」と言うんじゃなくて、仏さまとなられたご先祖方は阿弥陀さまと一緒になって、私たちの気づかないところでずっと見守ってくださってたんだから、そんな仏さまの「おかげ」に感謝して家族みんなでお経にあおうよ、って。
そっかー、お盆にお経をあげてもらうのってそういう意味だったんだね。
日ごろの感謝のお経だから、本来はいつでもいいはずなんだけどね。
でもせっかく世間にはお盆っていう習慣があるんだから、だったらそれに合わせて私たちも感謝のおつとめさせてもらおうよ、ってコトね。
じゃあ、お盆のお墓参りのときに手を合わすのも…?
そう、同じように感謝やよろこびの意味だよね。「いつもお導きくださりありがとうございます。おかげで今年もお盆をお迎えすることができました」ってね。
なるほどね、やっぱ感謝するって大事だなー。そんなこと聞いたらお墓参り行きたくなっちゃった(笑)
おー、行ってこい行ってこい!しっかり仏さまに感謝しておいでー(笑)